虫の知らせは大切に。
4、5時間バイクに乗りたいなと思った時に手頃なコースを貴方は持っているだろうか?
俺の場合はフルーツ街道から、根来寺に抜ける道が最高の癒やしコースだ。
ほぼ信号も無く、ズバ抜けて飛ばす走り屋もいなく60キロ程度でゆっくりと流せる
道はそう多くない。
このコースを走る時は、体の中にストレスを抱えている時に一気に走り抜けると、根来寺
の下を通る頃には固まった血肉が風になびきストレスがちりじりばらばらに飛び散ってい
る。
だからこそ僕に取っては癒やしとリセットの道なのだ。
ある朝、ある時間に、ガレージからハーレーを引っ張り出すとどうも乗り気がしない、
何やなら、灰色の煙にまきつかれているよに体が重い。
こいう時は、何かある。バイクに乗らないに限る、しかし、そのような虫の知らせに自分の
行動を支配される事を良しとしない俺は、何があるかは行って見なければ分からないと自分に
言い聞かせて出発する事にしている。
勿論事故は避けたいし、盗難、交通違反切符は論外の事だ。
だから自然と安全運転になり結果、ツーリンツの途中でバイクとの一体感が戻り、事なきを得
て帰宅する事が出来る。
でも、このパターンが出来る迄には、フロントフォークホークが曲がる事故を最大として、様々な
トラブルの上に出来上がった慣習だが、しかし、この悟りを理由に人生をコントロールされる事は
絶対に嫌なのである。
かくゆう信念に基づき、慎重にツーリングをスタートした訳だが、フルーツ街道に近づけば近づく
程、不快感がとぐろを巻いてくる。
何時も休憩するローソンで、何時もは食べないガリガリ君をガリガリと食べながら考えた。
どうもしっくりと来ない、どうも体中が拒否している。何故か行きたくない、どうしても前に進み
たくないという気持ちで一杯になって行く。
何故か?俺の中で答えは明白である。それはこの先にトラブルが待ち構えているからだ、この拒否
感からすると恐らく事故だろうと、第六感が告げている。
梨味のガリガリ君を食べ終わると同時に、この先に行くのはナシにして、来た道とは違う道を通り帰路についた。
ツーリングコースの出口を右手に眺めたると、本来走りたかった衝動が胸に湧き、逆から入る形で
二車線の道を根来寺方面に向かった。
そうすると最初に、一番走っていて気持ちのいい緩やかなカーブが続くワイディングを走り抜ける事
が出来る。せめてそのコースだけでも走りたかったのだ。
所がだ、何時迄バイクを走らせても、お気に入りのワイディングは見えない。
コースを半分過ぎても一向にその場所を通った記憶が無い、たかだが、2車線にの道で見逃すはずも
無く何度も通っているのだから、全くどうかしてるぜと自分に呆れた。
半分を過ぎ、このまま走る抜けてしまえば、ツーリングを中止した意味が無い、そこでUターンして
出口に向かった。
暫く走るとハーレーから焦げ臭い匂いが充満してきた。止まって点検するとブレーキランプが
焦げ電球付近のカバーは溶けて変形していた。
暫くバイクを停め、そのまま修理やに直行したのだ、修理屋でカバーを外すと破裂した電球の欠片が
ブレーキランプ内に散らばっていた。
バイク屋いわく良く有る故障の一つらしいが、今年の炎天下には耐えられなかったようだ。
出発前の直感に従い、何時も乗っている夜中ツーリングに変更していたら、こうはならなかったが、
いずれ何らかの事情で、白熱球は切れただろう。
旅先で切れたり、破裂したりする事を思えばむしろラッキーだったかもしれない。
出発前に違和感を感じたら、安全運転を心掛ける事を徹底すべきだと改めて感じた。
大難を小難に変えたと思い、自分の中でルール化し、小さな神秘からの声に耳を傾ける、これが
魔術修行の大切な一つだと実感した出来事だった。
因みにテールランプは電球式からLEDに交換した。
これで破裂する事は無い。
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